就職率はどれくらい?通信制高校は就職に不利なのか。

通信制高校への進学や編入を考えている方は、通信制高校からの就職率が気になるところではないでしょうか。

全日制の高校に比べて極端に就職率が低いようなら、入学を迷ってしまいますよね。また、通信制高校は学校に通って勉強する機会が減るので、学力が低下して実際に就職率が低いのではないかと、予想している人も多いのではないでしょうか。

今回は、通信制高校の就職率や、就職先などについても見てみましょう。

通信制高校の就職率は?

文部科学省の発表*1によると、通信制高校の就職率は概ね14%前後といわれています。全日制の就職率を見てみると、約16%という値を示しているので、こうやって比べてみると、通信制高校の就職率が極端に少ないということは無さそうです。

しかし、「そうか!通信制高校も他の高校も就職率は変わらないのか!」と判断するのは少し早いというのが事実。その理由を見ていきましょう。

以下が、文部科学省が発表している、全日制高校卒業者の主な進路です。

*1 定時制課程・通信制課程高等学校の現状

このように、半数以上が大学に進学している他に専門学校、就職が残りのほとんどを占めています。ちなみに約6%を占めているのが、いずれにも当てはまらない進路です。この中には、フリーター、ニートなどが含まれています。

次に定時制高校の進路を見てみましょう。

 

大学に進学する人が大きく減った代わりに、就職する人の割合が全日制高校に比べて倍近くに上がりました。しかし、「その他」の割合も大きく増えています。こうやってみると、進学、就職、フリーター・ニートでちょうど3分割されているような形になっています。

それでは最後に通信制高校を見てみましょう。

 

このように就職者が14%と一定の数字は出ているように見えますが、「その他」が45%と半数近くを占めています。つまり、就職者の割合は全日制と大きくは変わりませんが、全日制の場合は多くの生徒が進学を希望しているために就職者の割合が減っている一方で、通信制では、代わりにフリーター・ニートが含まれる「その他」の数字が伸びてしまっている状況なのです。

従って、通信制高校は、全日制や定時制に比べると、少なからず就職に不利という事実は残念ながら否定できないといえます。

何故?通信制高校が就職に不利な理由

それでは、何故、全日制や定時制に比べて通信制高校の就職は不利とされているのでしょうか。

これから述べることは、必ずしも起こりうることではありません。何故なら、就職できるかどうかは、面接での印象が大きく関係し、面接を担当する面接官は人間だからです。面接官によって考え方は様々ですし、業種、ひいては一社一社が異なる考えを持っています。

また、当然ながら履歴書にわざわざ「通信制高校卒」と書く必要はないため、そもそも通信制高校出身だと相手に気づかれない場合もないことはありません。ただし学校によっては明らかに通信制高校だとわかるような名前もありますが・・・。

さて、通信制高校出身というだけで就職に不利となってしまう理由の一つとして、通信制高校は、「普通の学校に行けなかった人が行く学校」というイメージがまだまだ残っていることが挙げられます。確かに学業不振、不登校、退学などの理由から通信制高校に行く生徒は多いため、通信制高校出身というだけでそういったイメージを抱かれることがあります。

しかし、そういった事情を抱えている生徒ばかりではありませんし、例えそうであった場合もその壁を乗り越えられたからこそ高校を卒業できたのですから、そういった面接官の判断は間違っていると言わざるを得ません。明らかな差別行為ともいえますが、面接官は会社にとって即戦力となる人材を極めて少ない情報量で見極めなければいけないため、仕方がない所もあるでしょう。

では、マイナスイメージを少なくするにはどうしたら良いのでしょうか。

 

対策

自ら誤解を解く

まず、通信制高校から与えられる印象として、最も就職に不利に働くのが集団生活が苦手かどうかです。前述の通り、集団生活に支障をきたして通信制高校を選ぶ生徒は少なくありません。会社に勤めるとは、一つのチームになって会社を切り盛りしていくということです。集団生活が最も重要な要素の一つとなるため、集団生活が苦手な人は会社にとっては、不都合と思われてしまうのです。これも既に述べたとおり、すべての会社に当てはまるわけではなく、そういった要素を気にしない業種や会社も存在するので、一概にはいえませんが、概ね当てはまると思ってもらって構いません。

そこで重要となるのが、そういった誤解を面接で解いてあげることです。面接官は、学歴を見ただけで集団生活が苦手、勉強が苦手、素行が悪いなどのイメージを勝手に抱いてしまう場合があるので、その誤解をなるべく面接を通して自分から解く努力をしましょう。

アルバイトをする

在学中にアルバイトをすることで少しは、マイナスイメージを払拭できる場合があります。例えば、集団生活に関してもアルバイトをしていることで問題がないことをアピールできますね。

アルバイトが希望する職業に関連していればさらに良いでしょう。もし、将来の夢が決まっているのであれば、そこから逆算して、関連業界でアルバイト先を探してみてはいかがでしょうか。通信制高校は、学業以外で自由に使える時間が多いというメリットがあります。将来を見据えて時間を有効活用しましょう。

進学をする

もしどうしても就職しなければならない理由がない場合に限られますが、大学や専修学校への進学を視野に入れてみてはいかがでしょうか?就職の面接で主に見られるのは、最終学歴です。最終学歴が大学、専修学校であれば通信制高校に通っていたことはさほど注視されません。また、高校以降の学歴を積んだほうが当然、就職先の幅が広がり、将来の選択肢が増えます。

時代は変わりつつある

このように、通信制高校というだけで「難あり」と思われてしまう実情がありますが、この流れも少しずつ緩和されつつあります。

確かに、通信制高校は、様々な事情を抱える生徒で溢れていました。しかし、最近では、自由な学習スタイルに惹かれてあえて通信制高校を選ぶ生徒も少なくありません。趣味に専念したい人、アルバイトと両立したい人が通う学校というイメージが少しずつではありますが、定着しつつあります。

現に、少子化の影響もあり、年々高校生の数が減少している中、通信制高校に限っては減少を食い止めています。

現在の通信制高校は単に、全日制高校に馴染めなかった人の逃げ道ではありません。より自由で、最先端な今の時代に合った学校なのです。